DACは、「Digital to Analog Converter」の略で、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路のことです。DAC回路をデバイスに搭載する方法として、トランジスタなどの半導体や抵抗器、コンデンサーなどで組んだディスクリート回路を採用する方法と、DAC機能のほとんどを組み込んだ集積回路であるDACチップを採用する方法があります。
ディスクリート回路の場合は、個別素子を利用して回路を自由に設計することができ、他のモデルと差別化を図ることができます。反面、設計にはそれなりの知識や経験が必要であり、また、個別素子の個体差により性能を均一化するのにも注意が必要です。
一方、DACチップを採用した場合は、チップ内部にDAC機能が含まれているので、DAC回路をイチから設計する必要がなく、作業ステップを短縮化することができます。また、集積回路であるDACチップは、個体差による性能の違いがほとんどないので、性能を均一化することができます。
「Shanling M7」
「Shanling M7」は、高機能なオーディオ製品を展開している「Shanling(シャンリン)」から登場したフラグシップDACチップ「ES9038Pro」を採用したAndroid OS搭載デジタルオーディオプレーヤー(DAP)です。
DAC回路には、ESS Technology社製のフラグシップDACチップ「ES9038Pro」を電流出力モードで使用しています。「ES9038Pro」は1つのチップに8チャンネル、さらに1つのチャンネルに4基のDAC、合計32基のDACを内蔵しています。さらに、独自開発の特許取得済みのD/A方式「HyperstreamⅡ」とジッター除去技術「Time Domain Jitter Eliminator」が採用され、音源に本来含まれているオーディオ情報を忠実に再現することが可能です。DACチップをベースにオーディオ回路が最適化され、DACチップの持つポテンシャルを活かせるように回路が設計されています。
自社設計されたI/V変換回路は、ADI製オペアンプ「ADA4896-2」が採用され、抵抗器やコンデンサーとマッチングをおこなうことにより、パフォーマンスを高めています。
アンプ部は、OP+BUFアーキテクチャ(オペアンプ+バッファを用いた音響回路設計)に基づいた「4chフルバランスアンプ回路」が搭載されています。ノイズを大幅に抑制することができ、優れた音質を実現することができます。オペアンプは、低ノイズ性・低歪性に優れる2回路入りJ-FETオペアンプ「MUSES8920」が採用されています。さらに、高精度薄膜抵抗器、Panasonic製タンタル-ポリマーコンデンサを採用することにより回路の信頼性を高めています。
ローパスフィルターは、独自の「CPAF(Constant Phase in All Frequency)」テクノロジーを用いて設計され、ローパスフィルターの問題点である群遅延を改善しています。オペアンプは、高出力・低歪の「TI-OPA2211」が採用され、ステレオクロストークを向上させています。
DACチップに最適な電力供給をおこなう電圧レギュレーターには「EES93311」が、出力レベルを大幅に向上させるドライバ段のオペアンプには「TI-BUF634A」が採用されています。
クロック段は、日本のKDS社製「低位相雑音水晶発振器」2基と、独自のアルゴリズムが組み込まれた「第三世代FPGA テクノロジー」により、PCM/DSDデータのデコード精度を向上させています。
再生対応オーディオフォーマットは、最大PCM 768kHz/32bit、DSD 22.4MHzをサポートしハイレゾ音源を楽しむことができます。MQAデコードもサポートし、MQAファイルを最大16倍まで展開して再生することが可能です。USBオーディオ出力とUSB-DACモードに対応し、USBオーディオ出力は最大PCM 768kHz/32bit、DSD 22.4MHz、USB-DACモードは最大PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzをサポートしています。
SoCは、Qualcomm社製「Snapdragon 665」が搭載されています。最新のアプリをストレスなく動作させることができる処理能力を有し、低消費電力・低発熱のためバッテリーライフの延長にも貢献しています。メモリは6GB、内蔵ストレージは128GBを搭載し、最大2TBまで対応のmicroSDカードスロットを1基備え、ストレージを拡張することも可能です。
ディスプレイは、5インチのSHARP社製液晶ディスプレイが採用されています。1,920×1,080ドットによる高精細表示や、鮮やかな発色、広視野角などの優れた特徴があります。
「Android 10」により動作させることができ、自由にカスタマイズすることができます。さまざまなアプリを使用したり、コンテンツにアクセスすることが可能です。独自の「AGLO(Android Global Loss-less Output)テクノロジー」が組み込まれ、Android OSのサンプルレート変換による音質の低下を受けることなく、最高の音質でサウンドを楽しむことができます。
あらかじめインストールされている「SHANLING Music」アプリを使用することで、DLNAやAirplayに接続をおこない、音楽をストリーミング再生することができます。スマートフォン向けのアプリと連携することでリモートコントロールをおこなうことや、Wi-Fi接続をすることで簡単にファームウェアのアップデートをおこなうことも可能です
出力端子は、3.5mmシングルエンド出力と4.4mmバランス出力が用意されています。最大出力レベルは、シングルエンド出力で406mW(@32Ω)、バランスで920mW(@32Ω)と強力です。3段階のゲイン設定も可能で、入力に敏感なIEMから強いエネルギーを必要とするヘッドホンまで幅広いデバイスを駆動させることができます。
Bluetoothのバージョンは5.0を採用し、送信可能コーデックはSBC、aptX、aptX HD、LHDC、LDAC、受信可能コーデックはSBC、LDACをサポートしています。Wi-Fiは、2.4GHz/5GHzの2つの周波数帯に接続可能なQualcomm社製「WCN3980」ワイヤレスモジュールを搭載し、高速で安定した接続を実現することができます。
7,000mAhの大容量バッテリーを内蔵し、連続再生時間はシングルエンド出力で最大約10時間、バランス出力で最大約8.5時間サウンドを楽しむことができます。「QC3.0-18W」規格に対応するACアダプタを使用することで高速に充電することが可能です。
ボディは、剛性の高い航空機グレードのアルミニウムをCNC切削加工したシャーシが採用されています。精密加工により側面にグク雑なラインパターンが配され、仕上げにはチタニウムカラーの着色処理が施されています。本体サイズは約幅78×高さ128×奥行き20mmで、本体重量は約312gです。
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Shanling M7 (Titanium) デジタルオーディオプレーヤー
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